はじめに #
やりたかったのは「IAMの権限をちゃんと意識したインシデント調査」でした。
調査のためにエージェントへAWS権限を渡すとき、最小権限を設計する手が回らず「admin丸渡しか、諦めるか」になりがちです。これをどうにかしたい。その手段としてKiro Powersが使えるんじゃないか、と思って触り始めたのが出発点でした。
ところが、やりたいことを分解しながら調べていったら、最終的に「あれ、これKiro要らないのでは?」というところに着地してしまいました。この記事はその過程の記録です。結論から言うと、私が本当に必要としていたのは AWS DevOps Agent と Skills であって、Kiroではなかった、という話です。
なお今回は「調べて考えた編」です。実際にデプロイして動かす話は長くなるので、別の記事に分けます。
やりたかったこと #
最初にぼんやり考えていたのはこんな感じでした。
- インシデント調査をエージェントにやらせたい
- それを既存のアプリに組み込みたい
- 「組み込む仕組み」自体を半自動で展開できるようにしたい
「既存リポに組み込む再利用可能な仕組み」を作りたい、というのが軸でした。最初はそれをKiro Powersで作るんだと思い込んでいました。
今回の活動で解決するべき課題は3つ #
- IAMロール制御の適正化が重い — 調査のためにエージェントへ権限を渡すとき、ちゃんと最小権限を設計する手が回らず、「admin丸渡し」か「諦める」の二択になりがち
- PII漏えいの懸念 — ログをLLMに読ませる以上、「万が一」を気にする人がいる
- 再利用可能な調査ワークフローを展開したい — アプリごとに調査手順を作り、使い回したい
ここで一度立ち止まりました。これ、Kiroで解決する話なんだっけ?
調べて分かったこと:解はKiroじゃなかった #
順番に当たっていくと、3つの課題はどれも AWS DevOps Agent 側の機能で解けることが分かってきました。
IAMの悩みは「委譲」で消える #
AWS DevOps Agentは、調査をAWS側のマネージドなエージェントに委譲する作りです。read-onlyの標準ポリシーとセッション毎のguardrail(権限の天井)を最初から持っていて、調査範囲はAgent Spaceという境界で閉じ込められます。
つまり、IDEのツールにAWSの認証情報を持たせる必要がなく、渡すのはDevOps Agentへのトークンだけ。実際のAWSアクセスはDevOps Agentが自分のread-onlyロールで行います。
flowchart LR
IDE["IDE / クライアント
(トークンだけ持つ)"] --> DA["AWS DevOps Agent
(read-only ロール + guardrail)"]
DA --> AWS["AWS リソース
(CloudWatch / X-Ray / ...)"]
「IDEに動的IAMを設定するのが難しい」と悩んでいたのですが、そもそもIDEに権限を持たせない設計にすれば悩み自体が消える、という話でした。これはKiroかどうかとは関係ありません。
「ワークフローを展開する仕組み」の正体はSkills #
これが一番の発見でした。「アプリ固有の調査手順をリポに置いて再利用・自動展開する仕組み」は、Kiro Powersではなく DevOps Agent Skills が担います。
- Skillは
SKILL.md(frontmatterにname/description)を中心としたディレクトリ - GitHubリポのディレクトリからImportできる(更新はSyncで反映)。つまりバージョン管理が効く
- agent type(On-demand / Incident RCA / Evaluation など)でターゲティングできる
私が「Kiro Powersでメタ的に作りたい」と思っていたものは、実体としてはSkillsそのものでした。しかもGitHub importがあるので、「既存リポに組み込む」という当初の願望にそのまま乗ります。
じゃあKiroは何だったのか #
整理すると、こういう住み分けでした。
| 役割 | 今回 | |
|---|---|---|
| AWS DevOps Agent | 調査エンジン本体(AWS側で動く) | 中心 |
| DevOps Agent Skills | 調査ワークフロー(SKILL.md) |
主役 |
| Kiro / Powers | 開発IDE / IDEにツールをまとめるパッケージ機構 | 不要 |
そして決定的だったのが、DevOps Agentには Claude Code 用のプラグイン(AWS MCP Server経由)があること。私は普段Claude Codeを使っているので、新しいIDE(Kiro)を入れなくても、慣れたClaude CodeからDevOps Agentを呼んで、IDEの中で調査できる。
「IDEでインタラクティブに調査したい」もClaude Codeで足りる。となると、Kiroを使う理由が見当たらなくなりました。
結論 #
最終的にたどり着いた構成はこれです。
- 調査エンジン:AWS DevOps Agent(read-only委譲でadmin丸渡しを回避)
- 調査ワークフロー:Skills(
SKILL.mdをアプリのリポにgit管理 → GitHub import) - 入口:Claude Code + DevOps Agentプラグイン(普段のIDEのまま)
Kiroは(今回の目的に対しては)不要でした。Kiroが効くのは「AI-native IDEに乗り換えたい」みたいな別の動機があるときだと思います。
ちなみにDevOps Agentには動作モードが3つあって、On-demand(必要なときだけ会話的に)→ Investigations(アラートで自動起動)→ Evaluations(過去パターンから予防提案) という順で試すつもりです。まずはOn-demandから。実際に動かすのはこれからなので、続きはまた別の記事で。
最後に #
AWSはいっぱいサービスが有ってなかなか覚えられないです。使って初めて覚えられるような脳みそなので、頑張って使ってみたいと思います。
Reply by Email