はじめに #
AWSの基礎力をつけるためにAWS What’s Newを毎日目を通す事を始めました。 最初は日本語訳されたものを見ていたのですが、1週間ほど遅れて訳されるようなので、英語の情報を訳して整理することにしました。
本情報が役立つ人もいるかなと思い公開します。 個人的な理解なので、実際の情報は原典をあたってください。
Amazon RDS for OracleがAWS GovCloud (US)リージョンでM7i, R7i, X2idnインスタンスをサポート #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
Amazon RDS for Oracleが、AWS GovCloud (US)リージョンで新しいインスタンスタイプM7i、R7i、およびX2idnをサポートしました。
何が嬉しいのか #
- パフォーマンス向上: M7iおよびR7iインスタンスは、前世代のM6iおよびR6iインスタンスと比較して、vCPUとメモリが50%増加しており、より高いパフォーマンスを提供します。
- メモリ集約型ワークロードへの対応: X2idnインスタンスは最大2TiBのメモリを提供し、大規模なインメモリデータベースなど、メモリを大量に消費するワークロードに最適です。
- GovCloudでの利用: 米国政府機関やそのパートナーが、規制の厳しいワークロードをAWS上で実行するための選択肢が広がります。
これまでとどう変わるのか #
AWS GovCloud (US)リージョンで利用可能なRDS for Oracleのインスタンスファミリーが拡張され、より高性能でメモリ容量の大きい最新世代のインスタンスが選択できるようになりました。
具体的なユースケース #
- 政府機関の大規模データベース: 高いセキュリティとコンプライアンスが求められる政府システムのデータベース基盤として利用。
- ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC): 大量のデータを高速に処理する必要がある科学技術計算や分析ワークロード。
- 大規模なエンタープライズアプリケーション: ERPやCRMなど、高いパフォーマンスと大容量メモリを必要とする基幹業務システム。
Amazon Managed Service for Prometheusがワークスペースあたりのデフォルトアクティブシリーズ上限を5,000万に引き上げ #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
Amazon Managed Service for Prometheusのワークスペースあたりのデフォルトのアクティブ時系列数の上限が、1,000万から5,000万に引き上げられました。
何が嬉しいのか #
この引き上げにより、5,000万系列までの上限緩和申請が不要になり、大規模な監視環境のセットアップがより迅速かつ容易になります。
これまでとどう変わるのか #
これまではデフォルトの上限が1,000万系列で、それ以上を利用するには上限緩和申請が必要でした。今回の変更により、申請なしで5,000万系列まで利用可能になります。なお、最大10億系列までの上限緩和申請は引き続き可能です。
具体的なユースケース #
- 大規模なマイクロサービス環境で、多数のコンテナやインスタンスからメトリクスを収集する。
- 膨大な数のIoTデバイスから時系列データを収集する。
- 複数の大規模Kubernetesクラスタを単一のPrometheusワークスペースで集約的に監視する。
:::message
Amazon Managed Service for Prometheus
はコンテナ環境に最適化されたモニタリングおよびアラートのためのフルマネージドなソリューションです。
:::
Amazon Aurora MySQLで最大256TiBのストレージボリュームをサポート #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
Amazon Aurora MySQL互換エディションのデータベースクラスターで、最大256TiBのストレージボリュームがサポートされるようになりました。
何が嬉しいのか #
これまでの最大128TiBから2倍に拡張されたことで、単一のAuroraデータベースクラスター内でさらに大規模なデータセットを保存・管理できるようになります。これにより、大規模アプリケーションのデータ管理が簡素化され、増大し続けるデータ需要に対応できます。
これまでとどう変わるのか #
- ストレージ上限の倍増: ストレージの最大上限が128TiBから256TiBに増加しました。
- シームレスな拡張: 必要なストレージを事前にプロビジョニングする必要はなく、クラスターボリューム内のデータ量に応じてストレージが最大256TiBまで自動的にスケールアップします。料金は使用した分だけ発生します。
具体的なユースケース #
- 大規模なEコマースプラットフォームの製品カタログや注文履歴
- ソーシャルメディアプラットフォームのユーザー生成コンテンツ
- IoTアプリケーションから収集される膨大な時系列データ
AWS Entity Resolutionが、Levenshtein、Cosine、Soundexを利用した高度なマッチング機能をリリース #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
AWS Entity Resolutionで、レーベンシュタイン距離、コサイン類似度、Soundexアルゴリズムを使用した、高度なルールベースのファジーマッチングが利用可能になりました。
何が嬉しいのか #
この機能により、データの不整合や不完全さに起因する表記の揺れやタイプミスを許容できるようになります。手動でのデータ前処理なしに、より正確で柔軟なエンティティ解決が可能です。結果として、マッチング率の向上、パーソナライゼーションの強化、顧客ビューの統合が期待でき、クロスチャネルでのターゲティングやリターゲティング、効果測定に大きく貢献します。
これまでとどう変わるのか #
従来のマッチング手法(ルールベースと機械学習ベース)の間のギャップを埋めるものです。文字列フィールドに対して類似度、距離、音声的なしきい値を設定することで、決定論的なマッチングの持つ「設定のしやすさ」と、確率論的なマッチングの持つ「柔軟性」を両立させることができます。
具体的なユースケース #
- 広告・マーケティング: 顧客データを統合し、より精度の高いターゲティング広告を配信する。
- 小売・消費財: 複数の販売チャネルにまたがる顧客の購買履歴を統合し、パーソナライズされた推薦を提供する。
- 金融サービス: 顧客確認(KYC)や不正検出の精度を向上させる。
:::message AWS Entity Resolutionは、異なるデータソース間で重複や表記ゆれを含むデータを突合・統合するためのマネージドサービスです。以下のユースケースで使われます。
- 顧客、製品、取引などのエンティティ(実体)データの重複や不一致を解消
- 機械学習やルールベースマッチングで類似データを紐付け
- ETL不要でS3やRedshift、Glueデータカタログなどと連携 :::
Amazon Aurora MySQL 3.10 (MySQL 8.0.42互換) が一般提供開始 #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
Aurora MySQL バージョン 3.10 が MySQL 8.0.42 に対応し、一般提供が開始されました。 主な更新点:
- ストレージ上限が 128 TiB → 256 TiB に拡張
- インメモリ型リレーログ最適化によるバイナリログ複製性能の向上
- MySQL 8.0.42 に含まれるパフォーマンス改善、InnoDB デバッグ強化、セキュリティ修正を反映
何が嬉しいのか #
- 単一クラスターでより大容量のデータを運用可能(256 TiBまで対応)
- 書き込み遅延を抑制した高速レプリケーションが可能
- 最新 MySQL の改善により安定性とセキュリティが強化
これまでとどう変わるのか #
- Aurora MySQL 3.09(MySQL 8.0.40互換)から MySQL 8.0.42互換へ更新
- ストレージ上限が 128 TiB から 256 TiB へ倍増
- リレーログ処理がディスク依存型からインメモリ型へ最適化され I/O 負荷を削減
具体的なユースケース #
- ビッグデータ/ログ集約: 単一クラスタに大量ログを蓄積し分析
- 高トラフィックアプリ: 書き込み集中環境でもレプリケーション遅延を抑制
- 金融/Eコマース: 最新 MySQL のパフォーマンス・セキュリティ改善を活用し安定運用
Database InsightsがAurora Limitlessデータベースのフリート監視をサポート #
投稿日: 2025年7月27日
何ができるようになったのか #
CloudWatch Database Insightsが、Aurora PostgreSQL Limitlessデータベース向けにフリート単位の監視機能を追加しました。 複数のAuroraクラスター、RDSインスタンス、Aurora Limitlessの統合的な監視が、単一のダッシュボードで可能になりました。
何が嬉しいのか #
- フリート全体のヘルス状況を一画面で可視化できる
- データベースの問題特定・トラブルシューティングが迅速になる
- 大規模DB運用時の監視負荷が大きく軽減される
これまでとどう変わるのか #
これまではAurora Limitlessデータベースをインスタンス単位で個別に監視する必要がありましたが、フリート全体をまとめて監視可能になります。
具体的なユースケース #
- 大規模分散DB環境: Aurora Limitlessを含む複数DBのパフォーマンスを統合監視
- システム運用チーム: フリート全体から異常箇所を迅速に特定
- 障害対応・原因分析: 全体ビューから問題のあるインスタンスへ即座にドリルダウン
:::message フリートとは、同一の機能・役割を持つ複数リソースを1つの管理単位として束ね、スケーリングや運用を自動化する仕組みのことです。 :::
Amazon CloudFrontがオリジン応答タイムアウトの新しい制御機能を導入 #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
Amazon CloudFrontに、オリジンのタイムアウト制御を強化する2つの新機能が追加されました。
- 応答完了タイムアウト: オリジンからの完全な応答(すべてのパケットと再試行を含む)を待つ最大時間を設定できるようになりました。
- S3オリジンのカスタムタイムアウト: Amazon S3をオリジンとして使用する際に、デフォルトの30秒ではなく、カスタムの応答タイムアウト値を設定できるようになりました。
何が嬉しいのか #
- 信頼性の向上: ネットワークやオリジンのパフォーマンスにばらつきがあっても、ユーザーに一貫した体験を提供できます。
- 詳細なタイムアウト制御: メディアストリーミングやAPIコールなど、遅延に敏感なワークロードに対して、累積的な応答時間を厳密に管理できます。
- 柔軟なS3連携: S3オリジンからの応答が遅い場合でも、タイムアウト値を柔軟に調整することで、エラーを回避しやすくなります。
これまでとどう変わるのか #
これまでは、オリジンからの最初のパケットと後続パケットの受信を待つ時間しか設定できませんでした。今回の更新で、再試行を含めた合計の応答時間を「応答完了タイムアウト」として設定できるようになり、より厳密な時間管理が可能になりました。また、S3オリジンでは固定だったタイムアウト値がカスタマイズ可能になり、柔軟性が向上しました。
具体的なユースケース #
- メディアストリーミング: ライブ配信などで、オリジンからの応答遅延が発生しても、全体のタイムアウトを長く設定することで、視聴者への影響を抑える。
- API連携: 処理に時間がかかるバックエンドAPIを呼び出す際に、クライアントへのタイムアウトエラーをより適切に制御する。
- 大規模ファイルの配信: オリジンからの大容量ファイル転送時に、途中で接続が中断されるリスクを低減する。
:::message 「最初のパケットと後続パケットの受信を待つ」とは、CloudFrontがオリジンサーバーからコンテンツを取得する際の、2段階のタイムアウト設定を指します。
-
最初のパケットを待つ(レスポンスタイムアウト): CloudFrontがオリジンにリクエストを送った後、「オリジンが応答を開始するまで」の待ち時間です。オリジンがこの時間内に最初のデータ片(パケット)を返さない場合、タイムアウトとなります。
-
後続のパケットを待つ(キープアライブタイムアウト): 最初のパケットを受け取った後、応答が完了するまでデータを受け取り続けます。その際、「次のデータ片が送られてくるまでの間隔」がこの待ち時間です。通信が途中で途絶えて、この時間内に次のパケットが届かない場合にタイムアウトとなります。
つまり、これまでの設定では「応答が始まるまでの時間」と「応答が途切れないかの時間」を監視していましたが、応答全体の完了時間には上限がありませんでした。 :::
AWS、インドのチェンナイで100Gの拡張を発表 #
投稿日: 2025年7月30日
何ができるようになったのか #
AWSは、インドのチェンナイ近郊にあるSTTデータセンターのAWS Direct Connectロケーションで、100Gbpsの専用接続の拡張を発表しました。これにより、このロケーションから、すべてのパブリックAWSリージョン(中国のリージョンを除く)、AWS GovCloudリージョン、およびAWS Local Zonesへのプライベートで直接的なネットワークアクセスを確立できるようになります。
何が嬉しいのか #
Direct Connectサービスを利用することで、AWSとデータセンター、オフィス、またはコロケーション環境との間にプライベートな物理ネットワーク接続を確立できます。これらのプライベート接続は、パブリックインターネット経由の接続よりも一貫性のあるネットワークエクスペリエンスを提供できます。また、この接続はMACsec暗号化機能を備えており、セキュリティが強化されています。
これまでとどう変わるのか #
この発表により、チェンナイはインドで4番目に100Gbps接続を提供するAWS Direct Connectロケーションとなりました。これまでチェンナイでは利用できなかった高速かつセキュアな専用線接続が可能になり、インド南部地域の企業にとってAWSへの接続性が大幅に向上します。
具体的なユースケースはなにか #
- 大量のデータをAWSに移行またはバックアップする必要がある大企業
- 低遅延で安定したネットワーク接続を必要とするハイブリッドクラウド環境を構築している企業
- 金融サービスやヘルスケアなど、高度なセキュリティ要件を持つ業界でのデータ転送
:::message MACsec(Media Access Control Security)は、イーサネット通信を保護するためのセキュリティ規格です。通信の物理的な経路上(レイヤー2)で動作し、以下の3つの機能を提供することで、データの盗聴、改ざん、なりすましを防ぎます。
- 機密性: データを暗号化し、第三者による盗聴を防ぎます。
- 完全性: データが通信途中で改ざんされていないことを保証します。
- 認証: 通信相手が正当なデバイスであることを確認します。 :::
さいごに #
今回は特にピンとくる発表がありませんでした。強いて言えば Database InsightsがAurora Limitlessデータベースのフリート監視をサポート
でしょうか。
監視を一元化してくれるのは単純に便利でいいですよね。